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異色の道を歩んだアーティスト
川上秀行は、現代アートの作家であり、真言宗の僧侶でもあるという珍しい肩書をもつ人物である。
多摩美術大学で美術を学んだのち、仏教の総本山・智積院で修行し、再び大学院に進んで美術の探究を深めた。
つまり彼は、伝統と現代、宗教と芸術という二つの世界を、どちらも自分の足で歩いてきたのである。このバランス感覚こそが、彼の作品の奥深さと独自性を支えている。
仏教美術を、現代に生かす
日本には長い仏教美術の歴史があるが、ただ過去の形式を繰り返すだけでは、現代の人びとの心には届かない。
川上はこの問いに向き合い、伝統の中に現代の技術や感性を取り入れるという方法で、新しい仏教美術を模索している。
たとえば、寺の門前に立つ仁王像のように、左右一対で制作された「阿吽(あうん)」の構造をもつ立体作品や、医療機器のCTスキャンを用いて大日如来像の内部を映像作品として可視化するなど、その手法は大胆である。
見えない世界を見えるかたちにすることで、祈りの姿をより身近に感じさせるのだ。
漫画がひらく、やわらかな入り口
川上はまた、日本のポップカルチャーである「マンガ」の表現を仏教美術の中に取り入れている。
コマ割りや吹き出しといった視覚的な要素は、難解に見える仏教の世界観を、子どもでも楽しめるようなかたちに変えてくれる。
彼はこの表現を「萬画(よろずが)」と名づけ、あらゆるものを包み込む柔らかい器として捉えている。
それは、仏教がもつ「すべての人を救う」という考え方にも通じている。
始まりも終わりもない「無始無終」の世界
「無始無終(むしむしゅう)」とは、「始まりも終わりもない」という意味の仏教用語である。
この言葉は輪廻転生を示すだけでなく、すべてがつながり続けているという深い考え方を表している。
川上はこの哲学に強く共感し、自身の作品でもこの世界観を表現している。作品の中に登場する仏像やキャラクターたちは、過去・現在・未来を自由に行き来し、私たちに「今ここにある永遠」を感じさせてくれるのだ。
仏教パフォーマンスで五感をゆさぶる
2012年から川上は「S-va-ha(ソワカ)」という現代仏教ユニットに参加し、展示だけでなくパフォーマンス作品にも力を入れている。
そこでは、菩薩に扮した舞踏家が静かに踊り、川上自身が読経しながら声明を唱える。まるでお寺の法要のようでありながら、同時にアートとしての強さを持った表現だ。
光と音、動きと声。目に見えるものと見えないものが交わる空間が、観客の感覚を静かに揺さぶる。
祈りと芸術が重なるその瞬間、私たちは「アートは感じるもの」だということを思い出すのである。
世界へひろがる、静かな挑戦
川上の作品は、国内にとどまらず、海外のアートフェアや展覧会でも発表されている。
日本の仏教文化に根ざしながらも、そこに現代的なユーモアや映像技術を加えた作品は、言葉の壁を越えて人々に届く。
宗教でもポップカルチャーでもない、しかし両方を含んだような表現。それはどこか懐かしく、そして新しい。国を越えても「祈り」や「笑顔」は伝わるということを、川上の作品は静かに証明している。
川上秀行の作品は、伝統のなかに息づく新しさ、そしてやさしい祈りのかたちを見せてくれる。
仏教美術の静けさと、マンガ文化のひらかれた楽しさ。その真ん中で、彼の作品は今を生きる私たちにそっと語りかけてくる。
作品の前に立ったとき、思わず微笑んでしまうような、そして静かに手を合わせたくなるような、不思議な感情に出会えるはずだ。
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川上秀行 Shugyo KAWAKAMI ▶作品ページはこちら |
Schedule
Public View
4/19 (sat) 11:00 – 19:00
4/20 (sun) 11:00 – 17:00
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